「群雄割拠するダンスボーカルシーンに寄り添っていく存在でいたい」デビュー20周年記念日にオールシングルベスト『Lead the Best “導標”』をリリースするLeadにロングインタビュー!
2002年7月31日にデビュー、20年にわたりダンスボーカルシーンを文字通りリードしてきたLead。彼らがデビュー20周年当日となる2022年7月31日に初のオールシングルベストアルバム『Lead the Best “導標”』(みちしるべ)をリリースする。デビュー曲「真夏のMagic」から最新シングル「Sonic Boom」まで両A面シングルを含む全37曲と、メンバーの鍵本輝がファンに感謝の想いを込めた書き下ろし新曲「導標」も収録される。今回は「導標」の歌詞に込められた20年の歴史を紐解きながら、Leadの歩みを振り返りつつ、現在のダンスボーカルシーンに対する思いや、未来への展望までを語り尽くしてもらった――。
――『Lead the Best “導標”』ですがメンバーの皆さんも改めて聴いてみていかがでしたか?
鍵本輝(以下鍵本):単純にいろんなジャンルの楽曲たちが揃ったなという感じですね。とはいえ自分たちが歌うとどんな曲も自分たちの歌になるなっていうのは、リリースのたびに毎回思っていて、すごくヒップホップな曲もあればロックンロールな曲もやってきて、とっちらかっているけど「どれもLeadだな」って感じは率直に受けました。
古屋敬多(以下古屋):僕は当時の声を聞いたらその時の記憶が蘇ってくるぐらい一曲一曲に思い入れがあって、客観視しづらいんですが、「紆余曲折だったな、平坦じゃなかったな」って。割と険しい上り坂多めの歴史だったなと思いました。
鍵本:上り坂とぬかるみと雑草…みたいな(笑)。
谷内伸也(以下谷内):なかなか結果の出ないなか、手探りでいろんなことに挑戦しているなって印象が強いのと、これだけ楽曲がバラエティに富んでるアーティストってなかなかいないだろうなとも感じます。でもこの幅があるからこそライブではいろんな見せ方ができるなとも思うんですよ。
――どの曲にも思い入れがあるなか、中でも特に転機になった曲、新しい地平が見えたり、活動のなかでキーになった曲はありますか?
鍵本:3人とも共通していると思うんですけど「Upturn」は特別な曲ですね。3人体制初のシングルなんですけど。
――今までと違う体制で曲を作っていくのは苦労もありましたよね
鍵本:まずどんなアプローチで行くのが正解なのか、ずっと模索してました。
谷内:「何を今俺たちは伝えるべきなのか」「歌詞、それを伝える能力があるのか俺ら?」とか。
鍵本:何よりも新体制をファンの方々が受け入れてくださるのかっていう心配と不安が一番大きかったですね。メンバーの(中土居)宏宜が卒業するタイミングでファンクラブイベントがあって、ファンクラブイベントまではファンの方々は「4人のLeadを見に行こう」っていうモチベーションで来てくれてると思っていて。でもその後は「じゃあもうここまでかな?」ってファンの人が離れていく不安と心配がいっぱいで。そんななかでファンクラブイベントが終わった後、初めての3人体制初披露というタイミングがあって正直覚悟してたんですよ。ファンの人が「10人15人ぐらいいたらいいだろう」って。
――そこまでですか?
鍵本:それぐらいの覚悟でした。その現実が怖くてスタッフさんにも「今ファンの方何人ぐらい来てますか?」とか何も聞かずにとりあえず舞台に上がって、一曲目のイントロが流れて顔を開けた瞬間、空間を埋め尽くすファンの方々がいて。その時が「自分たち3人になってもLeadとして続けていいんだ」って思えた瞬間だったんです。心配だったり不安だったりとか、自分のなよなよした部分がすごく恥ずかしくなって、ステージに立ちながらファンの方々に心のなかで「ごめんね」って思って。
――その経験があったからより強くなれたところもありますよね。
古屋:その時のファンの方々の存在は今思い出しても涙出そうになるぐらいで、心強くて母親のような慈悲が溢れてました。「大丈夫だよ」って聞こえてくるようなまなざしを向けてもらえて。あれは絶対忘れちゃいけない瞬間だなと。
――デビューの時と第二章の始まりの時とどちらが大きいですか。
3人:第2章のほうが大きいです。
鍵本:「真夏のMagic」のデビュー当時は浮かれてたというか。
――アルバムに収録されている新曲「導標」の歌詞にも出てきますね
鍵本:「うわっ!東京だ!」みたいな。ワクワクドキドキで。当時は中学生でもうなにもかもが楽しくて楽しくて。
古屋:まだ子供だったんでもう楽しくて仕方なくて、かなり浮かれましたね。
鍵本:緊張感はあまり感じてなくて、むしろ“たぎってた”というか「やってやるぞ!」という感じ。
古屋:「Night Deluxe」ぐらいまではそんな勢いだったと思います。
谷内:「Upturn」の頃になるとある程度色んな事経験させてもらって、大人になってちょっと臆病になる部分も知って。
――先ほど険しい坂もあったとお話しされていましたが、この20年順風満帆なことばかりではなかったと思います。「導標」の歌詞に「背を向けたくなった」というワードが出てきますが、壁にぶつかって辛かった時期、辞めたくなった時期もありましたよね?
鍵本:これ僕は結構長い期間なりましたね。それこそ「バージンブルー」ぐらいから。結果が出ないことをずっと誰かのせいにしてたというか。もちろん個々の仕事に対してはちゃんとやってはいたんですが、惰性というか「平均点以上出せたらいいかな」という感じで。「バージンブルー」の頃は反抗じゃないですけど、スタッフさんに対して初めてわがままをぶつけた時期でもあって。
――だから「意味の通らぬことを大人にぶつけた」と…
鍵本:この歌詞はまさにリアルなことで、そこで結局わがままを聞いてもらえなくなってへそを曲げて。結果が出ない理由を勝手にどんどん付け加えて、他人のせいにして。そういうマインドってポジティブには働かないのでセールスにも顕著に表れて。「このままじゃちょっとヤバいかもしれない」ってそれぞれに思ってはいたんですけど、甘えてましたね。
古屋:デビューした頃は「なんかどんどん進んでいくな、運がいいな」みたいな感じで、そんなに苦労を感じてなかったんですよね。 それもあるからなんかちょっと舐めてたというか。
鍵本:ストリート文化というか「ヒップホップかっこいい、ラッパーってかっこいいよな」みたいな感じのマインドになって、「俺たちはこういう音楽をやりたいんだ。もっと踊れる楽曲がいい」って思って。
谷内:キラキラしたくなかったんでしょうね。
鍵本:大事なものを失っていって、マジで空中分解するんじゃないかっていうぐらいのとこまでいったんですけど、それでも「頑張んないとダメだよね」って気づかせてくれたのが「HURRICANE」で。
――まさに「雲をはらうHURRICANEだった」と。
鍵本:目を覚まさせてくれましたね。
――具体的に何か変わるきっかけになったエピソードがあったりしますか
鍵本:「HURRICANE」は最初配信のみのリリースで、その結果次第でシングルリリースするということだったんですけど、この頃ってシングルも年に1曲リリースぐらいで。
谷内:スパンが長くなって。でも「ちょっとまずいな」って感じになってきて、僕らのほうからブログを通して再起をかけるような動きといいますか、「何位以内に入らないと次のシングル切れない」みたいな。結構追い込まれた状況みたいなのを正直に、赤裸々に綴るようになったんですよ。そういうなかでも声を上げてプッシュしてくれるファンの方がいるんだっていうのを目の当たりにして、それでかなり励まされて、背中を押されて、結果としてシングルをリリースできることになって。
自分たちがここまでやってこれたのってファンの方々がいてのことで、当たり前のことなんですけど、もうそれが見えなくなってるっていう。当たり前のことすら見えなくなってたことに気付かされて、結果的にシングルもそこからまたリリースし続けられるようになったんでファンの方は恩人です。
古屋:あとその時、必死に一緒になって頑張ってくださったスタッフの皆さん。そういう人たちが僕たちを人として大きくしてくれたというか。本当に感謝してます。
――ダンスパフォーマンスについてもお伺いしたいのですが、中学生でデビューして20年経って、スキルや体力なども変化したことでダンスの作り方、ライブの見せ方みたいな部分で変化してきた点はありますか?
谷内:3人それぞれスタイルが違ってて、僕の場合は結構力強くて、多分敬多はしなやかに来るだろうな、輝はこのスタイルで来るだろう。ならその分ここを埋めていこうみたいに考えて。お互いの相乗効果を狙って。
――お互いのスタイルを知っているからこそバランスを考えてダンスを作ると
谷内:その予想を外す時もあるんですけど(笑)。とはいえ全部自分たちでやるわけじゃなくて、いろんな方を招いて化学反応を起こしてっていうときもありますが、自分たちで完結させるときはそういうマインドでやります。
古屋:ダンスも流行りみたいなものがあって、“振りっぽさ”は今の方があると思います。昔のほうがストリートダンスの要素が強かった。
鍵本:確かに。
古屋:今はどちらかといえば三浦大知さんみたいに、音にハメていく、音が見えるような感じの振り付けっていうのが主流になってるかなと思います。そっちも勉強しながら工夫して。自分の好きなスタイルもあるんでそれも入れながら作っていく感じです。あと今のほうがより“歌詞を振りで伝えたい”っていうベクトルになってると思います。
谷内:昔の振りって繰り返しが多いというか、フォーマットがある程度あったんですが、最近のほうがフリースタイルで踊ったものをそのまま振り付けとして落とし込んだみたいな、自由なスタイルになってますね。
――ダンスも歌も流行がありますよね。ある程度流行を取り入れていきつつ、自分たちのスタイルとどれぐらいのバランスを取ればいいのか。そのあたりはどうお考えですか?
鍵本:そこは永遠のテーマですね。
古屋:「この人かっこいい」とか、そういう人に魅了されて影響を受けて、そのスタイルをちょっと取り入れてみようとか。好奇心でやってますね。バランスとかというよりは。
谷内:要素を取り入れたとしてもそのまんま落とし込むわけじゃないんで、Leadのフィルターがかかった形にはなりますね。
鍵本:自分たちの感覚を疑ってはないというか、外部から取り入れた要素も自分たちが踊ることによって自分たちのスタイルになるというか。
谷内:ダンスは特にTikTokの文化もあって、ダンスを軸にみんなで遊んでるみたいな見え方になってきてますよね。DA PUMPさんのいいねダンスとかだったり。
古屋:みんなで盛り上げようみたいな。
鍵本:シェアして行く感じで。
――この20年でダンスシーンも変化しました。学校でも習うようになり、ダンスボーカルグループもたくさん生まれて、ダンスの社会の中での位置づけや楽しみ方とかも変わって。そんな状況にも適応していくことも必要ですよね。
古屋:若い人でかっこいいなって思う人もいて、やっぱり悔しいですよね。だから「俺らはこう行こう」とか、そういう原動力になりますし、悔しいって思えることはいいことだなと思ってます。
谷内:ダンスが普及するってことはお客さんの目も肥えるってことで、プレッシャーもありますがシーン全体が盛り上がったら、それがめちゃくちゃいいなと。チャンスも生まれると思うんで。
鍵本:だからこそもっと盛り上がってほしいという思いもあります。例えばですけど韓国のテレビ番組ってめっちゃカメラワークがいいんですよ。そういう技術が日本にもなんかどんどん輸入されてきたらもっと面白いなと思って。日本でシーンが盛り上がればカメラワークやテクノロジーも発展するでしょうし、盛り上がるのはすごく嬉しいことだと思います。
――どんどん現れる若手、後輩たちにはどう向き合っていこうとお考えですか?
鍵本:僕は寄り添えたらいいなと思ってるんです。先輩風吹かす人って僕苦手なんですけど、そういうのじゃなくて一緒にセッションして、新しいものを生んでいこうよっていうスタンスでいれたら。
――ダンスボーカルのシーン全体に寄り添って、一緒に発展していけるような存在になりたい?
鍵本:そこに対して信用されるグループというか、大きなグループになっていきたい思いはあります。
古屋:どのジャンルでも、動きでも、生み出した人がいて、その原点を理解して踊るとまた違うと思うんです。僕はそんなルーツに魅了されてダンスが好きになったので、そういうことを理解したうえでみんなに広めていくというか、それが理想的なダンスの広まり方ではあるかなと。
――「導標」ですが皆さんの歩みが詞に反映されていながら、過去のシングルのタイトルが散りばめられてるじゃないですか。ストーリーのなかにワードを散りばめて上手くはめていくのは大変だったのではと感じます。どう詞を組み上げていきましたか?
鍵本:意外と苦労はなかったんですよ。自分の頭に中にある思い出やその時の思い出をバーって書いてったので。
谷内:ストーリーを作るって感じではなかったので。
鍵本:詞を書きながら、その時その時の思いがシングルのタイトルになっているなと改めて感じたんですよ。当時はそういう気持ちではなかったとしても、振り返ってみると「真夏のMagic」の頃は魔法にかかったかのような気持ちでこの業界に入ってきたなとか。タイトルの向こう側に当時の気持ちや情景が思い浮かんできて、すんなりと歌詞に当て込められました。
――「歩いてきた道と運命の中で〜」のくだりには、ファンの方への感謝の思いも感じました
鍵本:Leadというグループ名ですが、支えてくれたファンの方々に逆に導いてもらえたなと。だからこれからは自分たちがみんなを導いていくからっていうメッセージを込めて、最後のサビにメッセージを込めました。
――『Lead the Best “導標”』がリリースされた当日には「Lead 20th Anniversary Live ~感今導祭~」が行われ、8月からは「Lead 20th Anniversary Live ~導標~」が行われます。
谷内:7月31日の「Lead 20th Anniversary Live ~感今導祭~」に対して、「~導標~」ツアーでは振り返りセクションもありつつ、最新曲を多めで構成してガンガン踊りまくって攻めたいなと。
鍵本:20年前、ストリートライブでやった時の気持ちを思い出して、体一つで表現していくパフォーマンスをしていこうかなと。
――となると結構過酷ですね
鍵本:めっちゃきついですね。でもそこに意味があるかなと思っていて。ライブの演出にこだわった時期もあるんですけど、やっぱり自分達は体で表現するのが一番だなって最近改めて思って、20周年だからこそダンスと音楽と歌に原点回帰したくて。
――10年後には30周年を迎えるわけですが、これからの10年、ここから先グループとして表現していきたいことなどはありますか?
鍵本:表現したい音楽とかもあるんですけど、一番に思うのはLeadとして集まれる場所はずっと残していたいなと。ファンの方々にも「ここがもう家だよ」って場所を残しておきたいです。あと先輩のDA PUMPさん、ISSAさんが“ド現役”で踊ってらっしゃるので、「やるしかないよね」っていう気持ちでいっぱいです。そこは年齢関係ないな、40代になったとしても歌って踊れる限り表現していきたいなって。
古屋:挑戦できることがあればどんどんしていきたいですね。まだ踏み入れない分野が数多くあると思うんですけど、そこで学べるものっていうのがあると思うので、挑戦し続けたいですね。
谷内:元気にピンピンで踊っていたいですね。
鍵本・古屋:発想がおじいちゃん(笑)。
谷内:今と変わらないぐらい、むしろパワーアップしていたいと思いますね。その身体をもってこのオリジナルメンバーでやってるからこそ出せるLeadのカラーっていうのを打ち出して、たくさんライブして応援してくださる方の笑顔をいっぱい見れれば本望です!
Text&Photo 葛西桐弥
■リリース情報
Lead 20th Anniversary
All Single Best Album
『Lead the Best “導標”』
2022年7月31日(日)発売
Lead 20th Anniversaryスペシャルボックス盤 [4CD+DVD + PHOTOBOOK]
¥9,900(税込)
※ポニーキャニオン特設サイト限定
初回限定盤 [4CD+DVD]
¥6,600(税込)
通常盤 [3CD]
¥4,400(税込)
サブスクリプションはこちら
「導標」Music Videoはこちら
Lead 20th Anniversary Live ~導標~
8/6(土) 大阪国際交流センター大ホール
【公演番号3】14:00開場/15:00開演
【公演番号4】17:30開場/18:30開演
9/17(土) 中野サンプラザ
【公演番号5】14:00開場/15:00開演
【公演番号6】17:30開場/18:30開演
チケット全席指定:6,500円[税込]
※3歳未満入場不可、3歳以上チケット必要
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