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「ケンカイヨシって誰?」豪華アーティストたちへ次々に楽曲を提供する謎の多きクリエイターにインタビューで迫る!

dot yell編集部
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たなか(ex.ぼくのりりっくのぼうよみ)や、宮川大聖(ex.みやかわくん)への楽曲提供や、新しい地図への、楽曲制作の参加など。話題の楽曲のクレジットで目にする機会が少なくない謎のクリエイター“ケンカイヨシ”。今回はその魅力と謎にインタビューで迫った。


↓↓↓↓↓下記インタビュー↓↓↓↓↓



◎作曲をはじめたきっかけを教えて下さい。

子供の頃に父親に買ってもらったパソコンがきっかけだったんですよ。と言っても、すぐに楽曲をつくるようになったわけではなく、最初はフリーゲームを片っ端からインストールして遊んでいました。とは言っても、当時のフリーゲームは数に限りがあったので、無料で使うことのできるビジネス用ツール、ソフトウェアなどもゲーム感覚でいじり始めるんです。その中に、「波形編集ツール」というものがあって。それを使って録音した声を加工して切って貼って、並べはじめたのが最初の創作体験ですね。だから、完全にゲームの延長線上だったんです。


◎ご自身の作品の魅力をひとことであらわすとしたら何になりますか?

プロになった今でも、小学生の時と同じように楽曲制作は完全にゲーム感覚なんですよ。だから、作り始めた時には続きも展開もまったく見えないし、パートをひとつ作り終わったらまた次のパートに全力で向きあう、その繰り返しで、気付けば完成している。だから、「創作」というよりは、「冒険」に近いんです。リスナーのみんなと一緒にコックピットに入って、船頭の操縦席にケンカイヨシが座り、お宝さがしの旅に共に出掛ける、みたいな(笑)だから、僕の作品の魅力は「一緒に冒険できる」ところじゃないでしょうか。リスナーのみんなには、僕と一緒にハラハラドキドキを楽しんでもらいたいです。

◎楽曲を制作する際に意識していることはありますか?

最先端のアプローチと、昔ながらの王道を、同じくらい愛し、混ぜ合わせることでしょうか。
「勉強しすぎない」のも僕の創作のひとつの特徴かもしれません。
今って、作りたい音やジャンルがあったら、YouTubeや教則本とか、How toの情報がたくさんあって。それを見て忠実に再現するだけである程度クオリティの高い音は作れるんですよ。
だけどそのまま再現しても、特に新しい発明や発見は無くて。だったらまずは見様見真似で挑戦してみたい。思い通りにならないからこそ、試行錯誤する。制限された環境で工夫をする。そんな過程を経ると、想像もしていなかったようなニュアンスがプラスされたり、自分でも想像だにしていなかった面白い技が編み出されることもある。だからこそ「創作」じゃなくて「冒険」なんです(笑)


◎携わった楽曲で特に印象的だった楽曲を教えて下さい。

みやかわくん(現、宮川大聖)の『略奪』でしょうか。元々リファレンスにビッグバンドジャズ系のポップスを提示されたのですが、僕はジャズを専門で勉強したことがまったくなくて。そんな中、見様見真似でジャズに挑戦したら、無自覚な手癖か、R&B、ゲーム音楽、バーレスクなど、様々な要素が混ざり合ったジャズのキメラのような楽曲に仕上がりました。(笑)How toからではなく挑戦から生まれた楽曲であり、「ケンカイヨシといえば工口くてジャジーな楽曲でしょ!」というイメージが業界全体に定着したきっかけとなった楽曲でもあり、みやかわくん、たなかには常々感謝しております。

◎2021年の活動で特に印象的な出来事があったら教えて下さい。

『花譜×たなか #95.5「飛翔するmeme」』は、『略奪』に代表されるような僕が一番得意とする、ゴージャスで派手なサウンドを封じたんです。吐息さん、Neiriさん、袖野あらわさんなど、近年脚光を浴びている若手ボカロPに共通した特徴ですが、独特の寂しさ、間合い、エモさがあって。そんな最先端のボカロサウンドに強く感銘を受け、その隙間だらけのサウンドスケープに、自分なりに挑戦した楽曲です。


◎2022年の目標や挑戦してみたいことがあれば教えて下さい。

とにかく飽きないように何でもやってみたいですね。これは尊敬するクリエイターの大先輩と話した内容なのですが、1960年前後に生まれた人は、新人類世代と呼ばれており。学生運動、戦争などの生々しい体験を経ておらず、漫画、アニメ、ロック、テクノ・ポップなどのサブカルチャーの影響を真芯に受けた、”バーチャルな”世代と言われています。その子息といえる僕たちは、そんなバーチャルなクリエイションに、ハマり、影響を受け、咀嚼し、自らもクリエイティブをする。幾度となく繰り返された営みの第四世代くらいだと感じています。そういった意味で、インドア少年だったにも関わらずR&B、NEW JACK SWING、Jazzなどの非常に生々しい音楽に感銘を受け、しかしデジタル機器、動画配信サイトなどを通じてそれらをバーチャルに楽しみ、血肉にした経験は、”リアル”に感銘を受け、それらが混ざり合った”バーチャルなキメラ”を造り上げる、という、ある意味実体のないクリエイティヴなんですよね。だからこそ、「僕にとって音楽とは何か?」と改めて自問自答したとき、音楽はそれ単体で完結するものではなく「映像、演技、はたまた人生そのものまで巻き込んだ大々的なマルチメディア・イベントである」という感覚が強いです。その一端を担い、演出し、発展させ、皆を楽しませるのが自分の使命。今後も詞曲編に関わらず、コーラスからライヴ舞台構成、脚本、映像演出、演技など含め……「マルチメディア・イベント」という大海原で舵を切る船長として、なんであろうと携わっていく所存です。

ケンカイヨシ


関東在住の音楽プロデューサー。エッジの効いたサウンド、エロくてジャジーなポップスが得意。


Twitter:https://twitter.com/kenkaiyosi_info

公式ページ:https://cloud9pro.co.jp/artist/profile/kenkaiyosi/

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