Idol

私たちBLACKNAZARENEは、BLACKNAZARENEの音楽と、あなたと共に、この世界を生きていきたいんです。それが、今のBLACKNAZARENEです。

dot yell編集部
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前日に、最新シングル「lord of the fate」を発売したBLACKNAZARENEが3月17日(木)Spotify O-EASTを舞台に、結成4周年公演「奇祭Ⅲ〜BLACKNAZARENE Anniversary Oneman LIVE〜」を行った。当日の模様を、ここにお伝えしたい。


 ドクッドクッと流れる心臓の音。鼓動へシンクロするように流れだす重厚な民族音楽のSE。心が騒ぐ。何かが起きそうな予感を覚える始まりだ。それは、まさしく儀式。これから熱狂を生み出す奇祭が始まる。舞台前を覆い尽くした巨大な白い幕に次々とシルエット姿で映し出されるメンバーたちの姿。そして…。


  ヒステリックな音を放つギターの嘶きを合図に重厚なサウンドがスピーカーから一気に解き放たれた。怒号を上げるように、ライブは「PARADOX」を通して幕を開けた。身体を騒がせる楽曲に乗せ、メンバーらが祈りを捧げるように。いや、これから祭を繰り広げる様を見せながら歌い踊りだす。とても凛々しい姿だ。激しい楽曲の上で、時折愛らしい面を見せつつも、高揚した歌声を終始胸に突き刺さしてゆく。「僕はここにいるよ」と、自分たちの存在を強く主張する姿に触発され、共に感情が高ぶりだす。

 
「EASTいくよ!!」の声に続くメンバーらの叫び声を合図に、白いサイリウムを手にした多くの腕がフロア中で高く突き上がる。メンバーらの動きへ重ねるように大きく揺れ動く数多くの白い光が眩しい。曲を止めることなく、BLACKNAZARENEは「Stray straight」を突きつけ、観客たちの感情をさらに高ぶらせていった。自分たちの生きる定めを。いや、自分が信じた道を誇りを持って生きていこうという強い意志を、彼女たちはたくましい歌声とパフォーマンスを通して見せてきた。荒ぶる楽曲に気持ち煽られるままに、6人は、身体を激しく折り畳み、フロア中の人たちへ挑むような姿勢で気迫漲る姿を示していた。その気迫を受け止めようと、フロア中から数多くの手が舞台に向かって伸びてゆく。高ぶるこの感情を、抑えられない!!


  ラウドでアグレッシブな表情は、さらに激しさを増してゆく。止まることなくBLACKNAZARENEが突きつけたのが「BAD END」だ。痛みや苦しみ、悲しみを乗り越える力を、激しくぶつける轟音と歌声に変え、彼女たちは「たとえ これがバッドエンドでも」と、自分らの生きざまを強く示すように歌っていた。自分たちが、ここに立っている意味を伝えるように、6人は凛々しい声で沸き立つ感情をぶつけてゆく。その想いに呼応したフロア中の人たちが、手にしたサイリウムを大きく振り、舞台上の6人に想いをぶつけ返していた。たとえ負け続けの日々だろうと、痛みを抱え、傷を増やしながら生きる毎日であろうとも、彼女たちは「この命はバッドエンドじゃない」と高らかに歌い叫びながら、自分たちの生きる意志を強く示し、その想いを会場中に響かせていた。


 今年の3月で、BLACKNAZARENEは結成4周年を迎えた。毎年行ってきた周年公演を祝う「奇祭」が今回はⅢなのにも、いろんな理由があった。周年公演さえ難しかった昨年のどん底の時期を乗り越え、こうやって華々しく新たな声を上げられた事実は、メンバーにとって、中でも、活動初期からBLACKNAZARENEを支えてきた村田実果子や南向いずみの心の内には、いろいろと感じる想いがあったに違いない。


  最初のMCでは、パンキッシュな真紅の衣装を身につけての想いや、じつはメンバーみんな緊張しながらライブを迎えたことについて、「緊張しすぎて、今、私の心臓がどこにあるかわからん」「ばっちり寝れたけど、緊張は解けてない」など、ざっくばらんに語りあっていた。


  次のブロックで披露したのが、発売したばかりの最新シングル曲たち。先に歌ったのが、C/Wに収録した「Twilight zone」。ミステリアスな曲調に似合う幻想的なパフォーマンスも交え、彼女たちは心の奥に閉まっていた気持ちを零すように、今にも壊れそうな声色で「君がもし手を離しても 僕は離さないでいれるかな」と、切々とした想いを届けてきた。背景にはリリック映像も登場。歌詞を追いかけながら聞くことで、この曲に込めた、自分たちが心の拠り所になれるのかと葛藤する想いが生々しく浮き彫りになってゆく。身体を揺さぶり、心震わせ歌う彼女たちの哀切な姿や歌声が胸をキュッとしめつける。その姿を、同じように胸に痛みを覚えながらも視線はずっと追いかけていた。すれ違う気持ちの中、それでも信頼した人を信じたいと願うように歌う彼女たちの声が、心にジンッと染みていた。

 
色を塗り替えるように歌ったのが、表題曲の「lord of the fate」。激しさとエモーショナルさ、高陽したメロディーと疾走さが重なりあう楽曲だ。エモい曲調に刺激を受け、感情がどんどん昂り続ける。この曲は、見ている人たちの心に翼を授けてゆく。その翼をはためかせ、一緒に飛び立とうと誘いをかけてゆく。彼女たちも、大きく広げた両手を翼のようにはためかせ歌い踊っていた。激しくパンキッシュに駆ける。いや、天空へ向かって勢い良く飛び立つ高揚した曲調に刺激を受け、一緒に太陽のフレアのような熱狂を作りながら、共に興奮を分かち合いたい。フロア中から伸びる無数の手が、翼をはためかせるように大きく揺れている。彼女たちと一緒にこのまま果ての世界まで飛んでいきたい。そんな心地よい興奮をずっと覚えていた。


  次に届けたのがダンサブルなロックナンバーの「faith」だ。真似しやすい振りを示し、彼女たちはフロア中の人たちと一緒に踊りながら、気持ちを一つに重ね合わせていた。舞台の上で自由奔放に歌い躍る姿は、「走り出した僕たちには誰も追いつけない」 の歌詞が相応しい、まとわりつく黒いネガティブな感情を振り落とし、自由を手に輝きへ向かって走り続ける姿にも見えていた。落ちサビで、フロア中から無数の手が捧げられた姿も印象的。メンバーらと観客たちが気持ちを一つにした熱狂が、この会場をどんどん熱くしていった。


 メンバーらの姿を次々と映し出した映像を挟み、ライブは後半戦へ。

 
「The beginning 朝焼けに 躊躇いも捨てていこう」。次のブロックの幕を開けたのが「The beginning」。彼女たち自身の新たな始まりを告げた楽曲を歌いながら、軽快なパフォーマンスと凛々しい歌声を通し、今の自分たちの強い意思と未来へ突き進む姿勢を、この会場に足を運んだ一人一人の胸に響かせようと歌っていた。とても感情的でエモーショナルな歌声なのも、楽曲に導かれ、彼女たち自身が気持ちを高ぶらせていたからだ。


   美しく華やかさを抱いた「アクアマリン」の登場だ。フロア中から沸き起こる熱い手拍子。メンバーらは胸を嬉しく騒がせるメロディアスなこの曲を、気持ち弾むままに歌っていた。激しい表情もBLACKNAZARENEの魅力だが、「アクアマリン」のように胸をくすぐり、歌で心を揺らす楽曲も嬉しい。願うように歌う姿に愛らしさを覚えていたのも、彼女たちが楽曲の世界へ浸り、心の叫びを届けようとしていたからか。いいよね、この手のロマンチックな表情も。


  ライブはふたたび熱狂の中へと観客たちを巻き込みだした。BLACKNAZARENEは「未完成」を突きつけ、フロア中の人たちの感情を熱情させてゆく。突き刺すような攻撃的な楽曲の上で、6人は高ぶる感情や、沸き立つ想いを声に乗せ歌い上げていた。「今壊れそうな心で~戦い続ける」と高らかに歌いあげるその声に、己の存在を強く主張してゆく姿に、胸が熱く騒ぎだす。彼女たちは、未完成のままでも いつかはきっと光が見えてくると歌っていた。その気持ちに同調するように、フロア中からも数多くの拳や手にしたサイリウムが突き上がっていた。


  続く激しくもエモーショナルな「Official Fake」を通し、メンバーらは「一寸先の闇も その白で照らして」と心の叫びを、熱く沸き立つ気持ちのままにぶつけていた。絶望にうちひしがれたような歌詞にも関わらず、たとえ目の前が闇でも、その先に輝く道が続いてると感じてしまうのは、彼女たち自身が奮い立つ熱情を、すさまじい熱気と輝きに変えてゆくからだ。6人の歌い叫ぶ声に刺激を受け、フロア中の人たちも、この空間に思いきり沸き立つ感情を解き放っていた。


  最後にBLACKNAZARENEがぶつけたのが「BLACK SUPERNOVA」だ。激しく駆けだした楽曲と、メンバーと観客たちの感情がシンクロ。エモく美メロな歌と攻める楽曲のオーケストレーションに触発され、フロア中の人たちが嬉しそうに無邪気に飛び跳ねていた。自分たちの生きざまを示す楽曲を、彼女たちは高らかに宣言するように歌っていた。サビ歌に合わせ、フロア中の人たちが白いサイリシムを大きく振りながら飛び跳ね続けていた姿も印象的。まさに、熱狂の奇祭がこの空間に生まれていた。彼女たちは歌っていた「諦めを知るために生まれてきたんじゃない」と。自分たちの存在意義を示すように凛々しく歌い踊る6人の姿が眩しく見えていた。彼女たちが飛び跳ねながら観客たちに突きつけた色は、間違いなく魂を解き放つ最高に熱い色だった。


 アンコール前に嬉しい発表が。この日のライブの模様が、初夏にLIVE DVDになって発売になる。さらに、10月30日には、EX THEATER ROPPONGIを舞台にワンマン公演を行なうことも発表してくれた。さらにメンバーたちが、いろんな想いを語りだした。


  「わたしたちがBLACKNAZARENEです」(南向いずみ)の言葉に続いて歌ったのが、今のメンバーで初めて行なったライブの最初に披露した「Hearts」だった。新生BLACKNAZARENEが始まったのが2021年5月だから、まだ10カ月程度のこと。その短い期間が、今や2-3年は経っているように思えるのも、新メンバーたちが短期間でBLACKNAZARENEらしい風格を身につけてきたからだ。今のBLACKNAZARENEとしてふたたび夢を描き、その想いを花咲かせようと。仲間たちと一緒に歩むことで生まれる”ともに生きる意味”を分かち合うように、彼女たちは歌っていた。か弱い心にさえ夢という強い武装を施し、彼女たちは先へ進む想いを伝えてきた。BLACKNAZARENEが描く夢や、その先を見てみたい。それが僕らの生きる理由にもなるのなら。


 表情を塗り替えるように、BLACKNAZARENEは凛々しい想いと沸き立つエモい感情を胸に「URGE」を歌っていた。この歌を聴くたび止まない衝動に突き動かされ、感情が熱く奮い立つ。拳を振り上げ、彼女たちと一緒に思いきり衝動をぶつけあいたい。メンバーらの煽る声に想いを届けるように白いサイリウムを振り上げる観客たち。たとえ目の前の光を奪われようと、今の僕らは何も恐れるものはない。彼女たちが授けてくれた強さを誇りに突き進めば、どんな逆境も乗り越え、大きく羽ばたける気がする。

 
「拳上げろ!!」。最後にBLACKNAZARENEが突きつけたのが「Throne」だ。彼女たちと一緒に「オーオーオー」と声を張りあげ、伸ばした手と手をこの空間の中で結び合いたい。お互い心に弱さを抱えた存在だからこそ、お互いを支えあうように、メンバーが、フロア中の人たちが手を伸ばし続けていた。高く掲げた右拳を組み交わしながら、これからも共に進み続けたい。どんな黒闇の中だろうと、互いに伸ばした手が触れ合えば、少しの温もりさえ覚えれば、その手を取り合って前へ突き進める。僕らの前に広がっているのは闇なんかじゃなく、闇さえも鈍く照らしだす漆黒の輝きなのかも知れない。





TEXT:長澤智典


■セットリスト


「PARADOX」

「Stray straight」

「BAD END」

「Twilight zone」

「lord of the fate」

「faith」


映像


「The beginning」

「アクアマリン」

「未完成」

「Official Fake」

「BLACK SUPERNOVA」


-ENCORE-


「Hearts」

「URGE」

「Throne」

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